十月の蝉
2014年10月23日
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羽化の遅れた油蝉が
十月の街路樹で
ただひとつ鳴き続ける

ゆがんだ金属音
ぐわんぐわん
わたしの中に響き渡る
ぐわんぐわん

時間を持て余した悪癖が
鳴き声をたどって後ろ指をさす
たまらない空気に耐えられず
わたしは思わず
思わす叩き潰してしまった

空は赤黒い夕闇
通学路にただひとり
もう通らないだろう道をただひとり

頭の中に残る金属音
ぐわんぐわん
あの十月の孤独な蝉の声
ぐわんぐわん