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螺旋
2014年11月28日
終わりのない螺旋階段の中腹付近に到達しようとしていた頃、胸ポケットのハイカララヂオから途切れ途切れの雑音が流れ始めた頃、故障ではないかと思い左手で取り出して陽光にかざし全体をまんべんなく眺めていた頃、突如螺旋階段の上の方からけたたましい音を立てながら謎の老婆が転がり落ちてきた頃、避けることもままならず正面から激突して気を失いかけた頃、衝撃で吹っ飛ばされたハイカララヂオから妙に聴き覚えのある高音質の不協和音が流れ始めた頃、骨折した鼻の激痛を我慢しながら両目をなんとなく空の方向へぐるんと廻してみた頃、青過ぎてギトギトしてる今日の空模様がラヂオの不協和音とマッチングしているように思えて何故か少し笑みを零してしまった頃、そこらかしこがでこぼこにへこんでいるさっきの老婆がよく見ると僕の初恋の人だったことにようやく気がついた頃、僕もまた螺旋階段をけたたましい音を立てながら転がり落ちていくのでした。ハイカララヂオの不協和音の音に合わせてリズミカルに転がり落ちていくのでした。
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わるい子供たち
2014年11月23日
レトロ映画館
ふたり手をつなぎ眺める

カタカタ回る映写機
上映作品は砂嵐

灰色のノイズの繰り返し
響き渡る摩擦音

「すごく面白いね」
目を光らせて君が言う

「そうだね楽しいね」
僕も微笑んで返事する

それから約一時間
ふたりで砂嵐を眺めてた

目がバチバチして痛かった
でも君が笑ってるから別に良かった

ふたり笑いあえるなら
なにをしたって構わない

君が笑ってくれるなら
何度でも映画館に連れて行く

君が笑ってくれるなら
そう、たとえ人殺しだってやり遂げる

ふたり笑いあえるなら
悲しいことなどなにもない

レトロ映画館
ふたり薄暗い闇の中

カタカタ回る映写機
スクリーンはいつまでも砂嵐
涙があふれて
2014年11月19日
taisyoku.jpg

埃の浮いたオレンヂジュース飲みながら
酸化して古ぼけた青空を眺めていた

ぽつりと視界に横たわる
誰もいない廃アパート
屋上で誰かが手を振っている気がしたけれど

たぶん気のせい

たったひとり
オレンヂジュース飲み干したら
なんだかお腹が痛くなってきて
なんだか涙があふれてきた

僕はこの街の古ぼけた青空を
たったひとりでぼんやりと
ずっと眺めていたいと思うのに

なんでだろう
おかしいよね
古い観覧車
2014年11月14日
観覧車がまわっていた
あかしろきいろが楽しそうにまわっていた
君が乗りたいっていうから
僕らは観覧車乗り場にやってきた

500円札を2枚つまんで受付に渡した
目の前にあかいゴンドラがやってきた
僕は錆びついた取っ手をひねって
カビくさいゴンドラの中に乗り込んだ

ゴンドラが少しずつ昇っていく
鈍い金属音を出しながらよろよろと昇っていく
君は少し淡泊な表情を浮かべてたけれど
僕は知らない振りをして外の景色を眺めていた

寒い冬の夕暮れ時だった
空は朱と青が混じった色をしていた
遠いふたつの山脈が初心な恋人みたいに並んでるのを眺めながら
僕は手元の空になったメローイエローに口をつけていた

突然すごい音がした
ひとつ手前のカップルが乗ったゴンドラが風に煽られて
腐食した金具が千切れて墜落した
耳がおかしくなる音を立てて粉々に墜落した

アスファルトに散らばる残骸
僕らは叫ぶでもなく驚くでもなく
墜落したそれをただぼんやり眺めていた
そして僕は思った

あんなふうに死ねたなら

僕らもあんなふうに死ねたなら
ふたり一瞬で死ねたなら
きっと幸せなんだろうなって思った
すごくすごく思った

このまま観覧車が壊れて
ふたり閉じ込められてしまえばいいのに
そしてすべて朽ち果てて
ふたり残骸の中死んでしまえばいいのに

ああ
僕はいつから駄目になってしまったんだろう
僕らふたりはどこでおかしくなってしまったんだろう
即席
2014年11月10日
ramen.jpg

昨日大人買いした
即席の恋愛感情は
すべて賞味期限切れでした
キネマ劇場のふたり
2014年11月02日
安いヨードチンキ
薬箱から取り出しまして
お立ち会いの表舞台に
撒き散らしたら今宵も開演

ほこりまみれの椅子にすわり
これからお目にかかるは
不思議でレトロな恋愛小芝居

横にはまだ依存してるフリをして
僕の手をぎゅっと握る君
目の前では林檎をかじる奇術師と
ぐるぐる回転する狂気の世界

火の輪くぐりに失敗する老夫
のたうちまわって絶叫曲芸
めくりめくる照明暗転
声を枯らして笑う貴婦人
それにつられて笑う君と僕

このお芝居が終わらなければいい
この時間がいつまでも続けばいい
そしたら君と僕
ずっと笑い続けていられるから

だからまだ少しのあいだだけ
手を握ったままでいよう

終劇まであとどれくらいだろう
狂ったままのふたりでいたいのに
終劇のあとはどうすればいいだろう
ふたりもう帰る場所なんてないのに

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